「28度除湿、一時間に一回15分くらい運転後、自動停止、湿度が上がれば自動運転、明け方には窓をあけて自然風を通す」
暑さで寝苦しい夏は、朝までエアコンをつけっぱなしにしている人もいることだろう。
だがエアコンをつけたまま眠った結果、寝起きに体がだるくなってしまうことがある。
なぜ体がだるくなってしまうのだろう?
今回は体がだるくなってしまう理由、だるくなってしまったときの回復方法、体がだるくならないエアコンの使用法について、長岡内科医院院長の鈴木飛鳥先生に話を伺った。
■エアコンをつけたまま眠ると体がだるくなる理由
寝苦しい熱帯夜に、エアコンをつけて快眠できれば、暑さで消耗した体力も回復しそうだが……。
「特に、基礎代謝の少ない高齢者や子供が、エアコンの設定温度を25度以下にしたまま寝ると、冷気により睡眠中の体温が放散し、風邪や下痢など寝冷えによる症状がみられることがあります。
健康な大人でも、長時間体を冷やし続けると末梢血管が収縮し、血液の循環が悪くなって倦怠(けんたい)感や手足の冷え、肩こり、腰痛などを生じることがあります」(鈴木先生)
寝起きに体のだるさをもたらす原因は、体が冷えたことにより血液の循環が悪くなることが原因だった。
■体がだるくなってしまったときの回復方法
では体がだるくなってしまった場合、どのように解消するとよいのだろうか。
「エアコンの設定温度を上げて外気との温度差を少なくし、直接エアコンの冷気にあたらないようにしましょう。
お風呂に入り体を温めることも不快な症状を和らげます。
また、就寝中だけでなく日中も、エアコンが効いた場所では着衣に気を配り、屋内外の温度差を5度以内にすると体への負担が減ります」(鈴木先生)
人間の体温は自律神経により一定に保たれているため、エアコンによる冷やしすぎは自律神経失調症のような症状も引き起こしかねない。
「エアコンが効いた屋内では交感神経の働きで血管が収縮する一方、暑い屋外では副交感神経の働きで血管は拡張します。
屋内と外気の温度差が大きい場合、繰り返し屋内、屋外を移動すると自律神経のバランスを崩し、倦怠感や体の冷え、関節痛、頭痛、食欲不振、便秘、下痢など、自律神経失調症のような症状が生じる可能性があります」(鈴木先生)
夏の“冷やしすぎ”は、さまざまな不調を招く諸悪の根源だ。
出入りの頻度が高いと、より体に負担をかけるので気をつけたい。
■体がだるくならないエアコンの使用法
では就寝時のエアコンは、どのように使用するとよいのだろうか。
鈴木先生にアドバイスをもらった。
「夏の暑さは気温だけでなく湿度の影響もあります。
湿度が高いと体感温度も高くなり、発汗しても水分が蒸発しないため体温を下げる機能が低下します。
湿度が高くなる夜間は、除湿機能を上手に使うと体感温度が下がり、快適な睡眠が得られることが多いです」(鈴木先生)
過度な除湿は、鼻や喉が乾燥してしまうこともあるので、注意して行おう。
「除湿ではなく冷房にするなら、エアコンの性能や環境、寝具、体感温度などによりそれぞれですが、一般的には26~28度に設定するとよいと考えられています。
寒さを感じずリラックスできる温度がよいでしょう」(鈴木先生)
また、就寝時に深部体温が下がると良質な睡眠が得られるという研究結果があるため、寝入りから3時間を最適な室温で過ごすことも重要とのこと。
「寝始め3時間の使用や、朝まで暑さで起きない程度の時間設定がよいでしょう。
就寝前に部屋を冷やしておくのも入眠しやすくするコツです。
扇風機で空気を循環させるのもおすすめですが、風が直接体にあたらないよう工夫してください」(鈴木先生)
鈴木先生は、理想的な「寝床内気象」についても教えてくれた。
布団の中の温度は32~34℃、湿度は45~55%程度が快眠につながるという研究結果があるそうだ。
暑い時期でも綿毛布やタオルケットを使用するとよいだろう。
暑さで熟睡できなかったり、エアコンで体を冷やしすぎたりすると、日中の活動や健康に支障をきたしてしまう。
今年は適温と理想的な寝床内気象で快眠を得て、暑い夏を元気に乗り切ろう。
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